「自分がいなくなった後、この子(あるいは家族)はどうやって生きていくのだろう」 「障がいのある家族に、スムーズに財産を遺してあげられるだろうか」
こうした不安を抱えている方は少なくありません。 実は、相続人に認知症、知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない方がいる場合、相続の手続きは通常よりもはるかに複雑になります。
今回は、援助が必要なご家族の安定した生活と福祉を守るための「遺言書」の役割についてお伝えします。
障がいのある子の未来を繋ぐ遺言書
1. 遺言がないと「成年後見人」の選任が必要になることも
通常、遺言書がない場合は相続人全員で「遺産分割協議」を行いますが、判断能力を欠く方はこの協議の当事者になることができません。
その場合、家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらう必要が出てきます。 後見人の選任には数ヶ月の時間がかかるほか、希望通りの人が選ばれるとは限らず、その後の財産管理に制約が出るなど、残された家族にとって大きな負担となるケースがあります。
しかし、遺言書があれば、遺産分割協議を経ることなく、直接そのご家族に財産を相続させることができます。 手続きを大幅に簡略化し、空白期間を作らずに生活資金を確保できるのは、遺言書があるからこその大きなメリットです。
2. 「生活の質」を守るためのメッセージを添える
遺言書で指定できるのは、単なるお金の分け方だけではありません。 生活支援を必要とする遺族が、その後も自分らしく、安定して暮らしていけるよう、あなたの希望を「付言(ふげん)事項」として書き添えることができます。
- どのような介護や介助を継続してほしいか
- どのような施設やサービスを利用してほしいか
- 本人のために、誰にサポートをお願いしたいか
これらは法的拘束力こそありませんが、残された親族や支援者、後見人にとって、今後のケアの方向性を示す「確かな指針」となります。あなたの想いが言葉として残っていることで、福祉現場との連携もよりスムーズになります。
3. 「福祉」と「法務」の両面から支える
障がい福祉サービス事業のサポートに携わっていると、制度だけでは埋められない「家族の不安」を強く感じます。 遺言書は、公的な福祉サービスと、ご家族の想いをつなぐ「最後の架け橋」です。
「本人の名義でお金を残して大丈夫?」「施設費用を確保するにはどう書けばいい?」 こうした具体的な悩みは、福祉の実情を知る専門家に相談することが解決への近道です。
結びに:今できることが、将来の「安心」に変わる
援助が必要なご家族がいるからこそ、あなたが元気なうちに「仕組み」を作っておくことが、何よりの愛情になります。
相続の手続きに追われるのではなく、残されたご家族が一日も早く穏やかな生活を送れるように。 障害福祉の現場を知る行政書士として、法的な有効性はもちろん、日々の生活の安心までを見据えた遺言書作成を全力でサポートいたします。
まずは、あなたのご家族が抱えている「これから」の不安を、ゆっくりとお聞かせください。


