2026年(令和8年)2月18日、厚生労働省およびこども家庭庁より、「令和8年度 障害福祉サービス等報酬改定」の概要が発表されました。今回の改定で最も注目すべきは、「福祉・介護職員等処遇改善加算」の抜本的な拡充です。実務に直結する重要な変更点を整理して解説します。
厚生労働省資料: 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について
福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充等
1. 改定の目玉:対象者の拡大と賃上げ幅
今回の改定では、深刻な人手不足への対応として、これまでにない規模の処遇改善が図られています。
① 全ての「障害福祉従事者」が対象に
これまで「福祉・介護職員」に限定されていた加算の対象が、「障害福祉従事者」へと幅広く拡大されます。これにより、事務職員やその他のスタッフの処遇改善にも活用しやすくなります。
② 最大「月額1.9万円」の賃上げを目指す構造
今回の措置により、以下の賃上げが実現する計算となります(定期昇給分を含む)。
- 一律の賃上げ: 月額 1.0万円(3.3%相当)
- 生産性向上への上乗せ: 月額 0.3万円(1.0%相当)
- 定期昇給: 月額 0.6万円
これらを合わせ、最大で月額1.9万円(6.3%)の賃上げを後押しする加算率の設定が行われます。
2. 相談支援事業所などへの「新設」
これまで処遇改善加算の対象外だった以下のサービスにおいて、新たに加算が創設されます。
- 計画相談支援 / 障害児相談支援
- 地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)
これにより、相談支援専門員などの処遇改善も、公的な報酬体系の中で対応可能となります。
3. 「生産性向上・協働化」による上乗せ措置
今回の改定の大きな特徴は、単なる賃上げだけでなく、「生産性向上」への取り組みを評価する仕組みが組み込まれたことです。
加算ⅠおよびⅡを取得している事業所が、以下の要件を満たす場合、さらに加算率が上乗せされます。
令和8年度特例要件:ア・イのいずれか及びウを満たすこと
ア)職場環境等要件の生産性向上に関する取組を5つ以上(⑱㉑必須)(*)
イ)社会福祉連携推進法人に所属していること
ウ)加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を月給賃金で配分(*)

事業所としては、単に給与を上げるだけでなく、「いかに効率的に業務を行うか」という体制整備が、より高い加算率を得るための鍵となります。
4. 実施スケジュールと申請の配慮措置
今回の改定は、令和8年6月施行となります。
- 事務負担への配慮: 迅速な賃上げを可能にするため、詳細な計画書の提出を待たずに、「誓約」ベースで算定を開始できるなどの配慮措置が検討されています。
- 経過措置: すでに処遇改善に取り組んでいる事業所が不利にならないよう、柔軟な移行期間が設けられる予定です。
まとめ
今回の改定は、事業所にとって「人材確保」と「経営改善」を同時に進める大きなチャンスです。
特に「生産性向上」の項目については、ICT導入支援の補助金活用なども含めた総合的な検討が必要になります。キャリアパス要件の整備や、就業規則の改訂など、法務・労務面での準備も欠かせません。
当事務所では、新基準に基づく加算算定のシミュレーションや、計画書の作成サポートを行っております。ぜひお気軽にご相談ください。


