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行政書士オオタ事務所
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就労移行支援の開設を考えている方へ!申請の流れを解説します。

障害福祉サービス

 就労移行支援は、障害のある方が一般企業で働くための架け橋となる重要な制度です。職業訓練や職場体験を通じて必要なスキルを習得し、求職活動や就職後の定着支援を受けることで、社会参加と自立を促進します。本記事では、就労移行支援施設の指定申請について簡単に解説します。

就労移行支援とは?

 就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つで、障害のある方が一般企業への就職を目指せるよう支援する制度です。職業訓練や職場体験の機会を提供し、就労に必要な知識やスキルの習得をサポートします。さらに、求職活動の支援や、利用者の適性に応じた職場の開拓も行われます。加えて、就職後の職場定着を促すための相談や支援も実施され、障害のある方が安定した雇用を維持できるようサポートします。障害を持つ人々が社会に参加し、自立した生活を送ることを目的としています。

就労移行支援施設指定申請の流れ

 就労移行支援施設の新規指定申請は、指定権者となる自治体に対して行います。本記事では、北九州市で指定申請を行う場合の手順を解説します。申請の大まかな流れは以下の通りです。

STEP1 事前相談

 指定を受けようとする日の約6か月前に予約が必要です。事業所として使用を予定している物件について、設備基準を満たしているか、人員基準の要件、関係法令などについて確認します。

STEP2 指定申請書の受付

 指定希望日の前々月の16日までに申請が必要です(郵送可)。
 例: 令和7年12月1日を指定希望日の場合、申請締切は10月16日。

STEP3 書類審査

 提出書類に不備があった場合、補正を求められることがあります。審査期間は約1~1.5か月です。

STEP4 現地確認

 申請の翌月中旬頃に現地確認が実施されます。所要時間は、1事業所あたり約20~30分です。

STEP5 指定(指定通知書の交付)

 指定は毎月1日付で行われます。

申請要件について

 申請にあたっては、人員基準と設備基準等を満たす必要があります。指定権者によって求められる基準や提出書類が異なるため、申請を行う自治体の手引きを必ず確認してください。

法人格について

 申請の前提として、法人格を有していることが求められます。

人員基準

◆従業員の配置

 1.職業指導員:1人以上

 2.生活支援員:1人以上

  *職業指導員、生活支援員のいずれか1人以上は常勤

  指定就労移行支援事業所の場合、従業者の配置総数は以下の計算式で求められます。

 常勤換算方法:利用者数 ÷ 6 以上

  (例:利用者数 30人の場合 → 30 ÷ 6 = 5人以上の配置が必要)

 3.就労支援員

  常勤換算方法:利用者数 ÷ 15 以上

◆サービス管理責任者の配置

  1. 利用者数 60人以下:1人以上
  2. 利用者数 61人以上の場合:1人 + 利用者数が60人を超えるごとに40人ごとに1人追加

◆管理者の配置

 原則として、管理業務に従事する者を1人配置すること。 他の職務との兼務可(管理業務に支障がない場合)。

設備基準

訓練・作業室

 訓練または作業に支障のない十分な広さを確保し、必要な機械器具を備えること。

北九州市の個別要件

利用者1人当たり3㎡以上のスペースが必要
例: 利用者が20人の場合 → 20人 × 3㎡ = 60㎡以上のスペースが必要

相談室

 室内の談話の漏洩を防ぐために、間仕切り等を設置すること。

洗面所・便所

 利用者の特性に応じた設備を整えること。

多目的室

 サービス提供の場として、利用者の食事や談話の場などに利用できる空間を設けること。

最低定員

  • 通常の最低定員:10人以上
  • 多機能型の最低定員:6人以上

多機能型とは?

 障害者総合支援法に基づく福祉サービスのうち、複数の支援サービスを一体的に提供する事業所を指します。例えば、就労移行支援と就労継続支援A型・B型を組み合わせて運営することで、利用者の状況に応じた柔軟な支援が可能になります。多機能型事業所の開設には、都道府県知事の指定を受ける必要があり、一定の基準を満たさなければなりません。

 

資格要件

管理者

 次の1~3のいずれかを満たす者

  1. 社会福祉主事要件に該当する者
  2. 社会福祉事業に2年以上従事した経験のある者
  3. 社会福祉施設長認定講習を修了した者

サービス管理責任者

 次の1.2のいずれも満たす者

  1. 障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援などの業務における実務経験が3年~8年。
  2. 相談支援従事者初任者研修(2日過程)修了

関係法令の確認

 北九州市では、障害福祉サービス事業所等の開設や変更を行う際に、関係法令の確認と「関係法令確認書」の提出が求められます。確認すべき法令は以下の通りです。

1. 消防に関する確認

〔確認先:事業所所在地の管轄消防署〕
事業所の規模や用途によって、「消防法」に基づき以下の要件が義務付けられています。

  • 防火管理者の選任
  • 消防用設備(自動火災報知機、火災通報装置、消火器、スプリンクラー設備など)の設置

2. 用途地域・地区計画に関する確認

〔確認先:北九州市都市戦略局都市計画課(北九州市役所13階)〕
用途地域や地区計画の規制に適合しない用途では、事業所として建築物を使用できません。事前の確認が必要です。

3. 市街化調整区域の開発行為(建築行為)等の許可に関する確認

〔確認先:北九州市都市戦略局開発指導課(北九州市役所13階)〕
市街化調整区域に新たに建築物を建てる場合や、既存建物を事業所として使用する場合は、「都市計画法」に基づく許可を受ける必要があります。

4. 建築基準に関する確認

〔確認先:北九州市都市戦略局建築審査課(北九州市役所13階)〕
建築物を建設する場合、または事業所として使用する場合、「建築基準法」に適合する必要があります。

5. 福岡県福祉のまちづくり条例に関する確認

〔確認先:北九州市都市戦略局建築指導課(北九州市役所13階)〕
社会福祉施設等を新築、増築、用途変更する際は、「福岡県福祉のまちづくり条例」に基づく整備基準を満たす必要があります。

6. 食品衛生法に関する確認

〔確認先:事業所所在地の管轄保健所〕
利用者への食事提供を行う場合は、「食品衛生法」に基づき届出が必要になることがあります。  

                                                                                                             

必要な提出書類

(北九州市ホームページより引用)

提出先:北九州市保健福祉局障害福祉部障害者支援課 指定指導係

まとめ

 就労移行支援事業の指定申請は、事業開始に向けた重要な手続きですが、時間がかかる上に準備すべき書類が膨大です。申請には法人格を有することが前提となり、人員基準や設備基準を満たす必要があります。さらに、関係法令の確認が求められるほか、協力医療機関の確保や地域住民への説明も必要となります。加えて、資産状況の確認や事業計画・収支予算の提出を含めた厳格な審査が行われるため、申請者には十分な準備が求められます。こうした手続きは非常に煩雑ですが、専門の行政書士に依頼することで、申請業務の負担を軽減し、開業準備に集中できるメリットがあります。指定申請に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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