厚生労働省およびこども家庭庁の検討チームにおいて、障害福祉サービスの報酬改定後の状況を踏まえた新たな課題と、それに対する「令和8年度の臨時応急的な対応案」が示されました。
現在、障害福祉サービスの現場で何が起きているのか、そして今後どのような変更が予定されているのか、資料の内容を整理して解説します。
1. 障害福祉サービスを巡る現状と課題
障害福祉サービス等に係る予算額は、障害者自立支援法の施行時から4倍以上に増加しており、特に令和6年度報酬改定後は総費用額が前年比+12.1%と急増しています。
この背景には以下の課題があります。
ニーズを超えた事業所の急増:
一部のサービスで、地域のニーズ調査を十分に行わずに参入する事業者が目立ち、事業所数の伸びが著しい状況にあります。
制度趣旨に沿わない報酬算定:
本来の目的とは異なる形で加算を受給する不適切な事案や、計算方式の変更により意図せず高い報酬区分に移行するケースが確認されています。
人材確保の困難さ:
事業所数の急増が一因となり、福祉人材の確保がさらに厳しくなっています。
2. 令和8年度に実施予定の「臨時応急的な対応案」
これらの課題に対し、制度の持続可能性を確保するため、令和8年度に以下の見直しを行う方針が示されました。
① 就労移行支援体制加算の適正化
同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で離転職を繰り返し、その都度加算を取得するような不適切事例に対応します。
対策: 1事業所あたりの算定対象人数に上限(原則、定員数まで)を設定します。
対策: 過去3年間に他事業所で算定実績がある利用者については、原則として算定不可とすることを明確化します。
② 就労継続支援B型の基本報酬基準の見直し
令和6年度の計算方式変更により、全国の平均工賃月額が約6,000円上昇し、高い報酬区分の事業所が急増しました。
対策: 工賃の上昇分を踏まえ、基本報酬区分の基準額を引き上げます。ただし、もともと区分が変わっていない事業所は対象外とするなど、経営への影響に配慮がなされます。
③ 新規事業所に対する報酬の調整
特に事業所数が急増し、収支差率が高い以下のサービスが対象となります。
対象: 就労継続支援B型、共同生活援助(包括型・日中支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービス
内容: 新規事業所に限り、令和8年度について一定程度引き下げた基本報酬を適用します(既存事業所は維持)。
3. 今後のスケジュール(案)
就労移行支援体制加算の見直し: 令和8年4月施行予定
就労継続支援B型の基準見直し、新規事業所の報酬調整: 令和8年6月施行予定
まとめ
今回の見直しは、急激な費用増加と事業所増に対応するための「臨時応急的」な措置です。既存の利用者への影響を避けつつ、サービスの質を確保し、制度を将来にわたって維持していくことが目指されています。


