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行政書士オオタ事務所
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【現場のリアル】令和6年度報酬改定後の「悲鳴」と「展望」:関係団体ヒアリングから見えたもの

障がい福祉サービス

 障害福祉サービスを取り巻く環境は、今、大きな転換点を迎えています。厚生労働省から公表された「令和6年度報酬改定後の状況を踏まえた課題に関する主な意見」では、予算の急増という数字の裏側にある、事業者の切実な苦悩と制度への提言が数多く寄せられています。

今回は、行政書士の視点で、この膨大な意見の中から特に重要なトピックスをピックアップして解説します。

厚生労働省資料:令和6年度報酬改定後の状況を踏まえた課題に関する主な意見

過去最大の予算増の裏で、なぜ事業所の「経営危機」は加速しているのか?

1. 予算「12.1%増」の衝撃と制度の持続可能性

 障害福祉サービス等の予算額は、制度発足時から4倍以上に増加しています。特に直近の令和6年度報酬改定後、総費用額は12.1%という大幅な伸びを記録しました。 しかし、現場からは「この財源増加が現場の改善に結びついていない」という厳しい指摘が出ています。その背景には以下の要因があります。

  • 営利法人の急増と質の不均衡:

 株式会社等の参入が急増し、一部で利用者の囲い込みや類似事業の乱立、サービスの質の低下が顕在化しているとの懸念があります。

  • 事務負担の増大:

 報酬体系が「基本報酬+多岐にわたる加算・減算」という構造になり、事務作業の負荷が業務を圧迫しているという声が極めて多く上がっています。

2. 物価高騰と「賃金格差」に苦しむ経営実態

 多くの団体が共通して訴えているのが、「物価・賃金の上昇に報酬単価が追いついていない」という現状です。

  • 経営の限界:

 光熱水費や食材料費が高騰する中、利用者からの実費徴収には限界があり、事業所が赤字補填をしているケースが常態化しています。

  • 人材確保の困難:

 処遇改善加算による賃上げ努力は行われているものの、他産業との賃金格差は依然として大きく、特に夜勤や変則勤務が可能な人材の確保は「法人努力の限界」を超えているとされています。

  • 毎年改定への要望:

 3年に一度の改定では社会情勢の変化に対応できないため、物価や最低賃金に連動した「スライド制」や「毎年改定」を求める意見が噴出しています。

3. より「質の高い支援」を評価する仕組みへ

 今後の対処方策として、単なる「量の規制」ではなく、「質の評価」に軸足を置いた仕組みづくりが求められています。

  • 指定基準の厳格化:

 悪質な事業者の参入を防ぐため、新規指定時のチェックや指定更新の厳格化、市町村による意見申し出制度の強化が提案されています。

  • 重度障害・医療的ケアへの重点配分:

 高度な専門的支援を必要とする重度重複障害者や医療的ケア児者への報酬を手厚くし、予算を重点的に配分すべきだという意見が目立ちます。

  • ガイドラインの充実:

 名義貸しなどの不正を防ぎ、支援の質を担保するためのガイドラインの充実と、それに基づくHP等での評価公表を求める声も上がっています。

まとめ

 今回の資料から読み取れるのは、「制度が複雑になりすぎて、本来の支援に集中できない」という現場の疲弊です。加算の算定要件が高度化する一方で、小規模な事業所では研修受講のための代替職員も確保できず、加算を断念せざるを得ないという構造的な矛盾も指摘されています。

今後、令和8年度の臨時見直しや令和9年度の定期改定に向けて、国は「加算依存からの脱却」や「基本報酬のあり方」について、より踏み込んだ議論を迫られることになるでしょう。

私たち行政書士としても、単に書類を作成するだけでなく、こうした現場の厳しい実態や最新の議論を反映させた、より実効性のある事業運営のサポートが求められていると強く感じています。

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