障がい福祉サービスの中でも、精神障害者の地域移行を支援するために設けられている「精神障害者地域移行特別加算」は、長期入院から地域生活へと移る方々にとって重要な制度です。精神科病院に1年以上入院し、退院後1年以内の精神障害者を対象に、専門職が生活訓練計画を作成し、地域での生活に必要な相談援助や支援を行うことで加算が認められます。
この加算は、単なる報酬上の仕組みではなく、長期入院から地域社会への橋渡しを円滑に進めるための仕組みです。事業所にとっては、制度の趣旨を理解し、適切な体制を整えることが求められます。本記事では、この加算の概要や算定要件、実務上の留意点について分かりやすく解説していきます。
精神障害者地域移行特別加算とは?
精神科病院等に1年以上入院していた精神障害者を対象に、地域での生活に必要な相談援助や個別支援を、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師などの専門職が実施した場合に算定できる加算です。
対象サービス
重度障害者等包括支援、自立訓練(生活訓練)、共同生活援助
加算単位
300単位/日
算定要件
精神障害者を主たる対象に含み、社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師等を1名以上配置している事業所において、精神科病院に1年以上入院し退院後1年以内の精神障害者を対象とし、当該専門職が自立訓練(生活訓練)計画を作成するとともに、地域生活に必要な相談援助や個別支援を行うこと
留意点
- 地域生活移行支援特別加算を算定している場合は算定できません。(自立訓練(生活訓練)・共同生活援助)
- 対象者は、精神科病院に1年以上入院し、退院後1年以内の精神障害者であるとされています。退院日から1年以内であれば加算の算定が可能です。また、退院後一定期間居宅等で生活している場合であっても、退院から1年以内であれば加算を算定することができます。
- 事業所は、運営規程において主たる対象とする障害の種類に精神障害者を含む指定事業所であることとされています。また、当該事業所の従業者として、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、または心理に関する支援を必要とする者に対して相談・助言・指導等の援助を行う能力を有する者を1人以上配置し、精神障害者の地域生活を支援するための体制を確保していることとされています。
- 加算の対象となる事業所については、以下の支援を行うものとされています。
- 専門職の従業員(社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師等)による、本人、家族、精神科病院その他関係者からの聞き取り等によるアセスメント及び地域生活に向け計画の作成
- 精神科病院との日常的な連携(通院支援を含む)
- 対象利用者との定期及び随時の面談
- 日中活動の選択、利用、定着のための支援
- その他必要な支援
まとめ
精神障害者地域移行特別加算は、長期入院から地域生活へと移行する精神障害者を支援するために設けられた制度です。算定要件や対象サービスは明確に定められており、事業所には専門職の配置や地域生活を支える体制の整備が求められます。
この加算は、単なる報酬上の仕組みではなく、地域社会で安心して暮らすための橋渡しとなるものです。事業所が制度の趣旨を理解し、適切な支援を実践することで、精神障害者の地域移行を円滑に進めることができます。


