いま、障害福祉の現場に衝撃が走っています。2025年(令和7年)12月23日、東京都は国に対し、令和8年度に予定されている「臨時的な報酬改定」への反対意見を盛り込んだ緊急提案を提出しました。なぜ東京都は、国の報酬引下げ案にこれほど強く反対しているのでしょうか。
1. 国が示した「臨時的な報酬改定」の中身
令和7年12月16日の検討チームにおいて、国は以下の案を示しました。
- 一部サービスにおける新規事業所の基本報酬引下げ
- 就労継続支援B型事業所の基本報酬区分の見直し
本来、報酬改定は3年ごと(次回は令和9年度)に行われるものですが、国は令和8年度に「臨時・応急的」な対応としてこれらを実施しようとしています。
2. 東京都が指摘する3つの大きな懸念
東京都は、国の案が地域の福祉基盤を揺るがすと指摘しています。
- 事実上の参入規制
地域によってサービスの充足状況は異なります。全国一律で新規事業所の報酬を下げることは、新しい事業所が生まれる芽を摘む「事実上の参入規制」になりかねません。
- サービスの質の低下
運営の根幹である基本報酬が引き下げられれば、当然ながら現場の運営は苦しくなり、サービスの質の低下が懸念されます。
- 自治体の整備計画への支障
東京都は現在、令和6年度から8年度までの「障害者・障害児施策推進計画」に基づき、グループホームなどの整備を進めています 。年度途中で方針が変わることは、この計画の達成を妨げることになります。
3. 東京都の結論:緊急提案の内容
東京都は、国に対して以下のように強く求めています。
「新規事業所への全国一律の報酬引下げを行わないこと」
地域ごとのニーズや充足状況をしっかり考慮し、利用者が安心してサービスを受けられる環境を維持すべきだという主張です 。
結び
今回の東京都の動きは、現場の声を代弁したものと言えるでしょう。「臨時・応急的」な対応が必要な場面はあるにせよ、そのために本来あるべき支援の形が損なわれてはなりません 。計画に基づいた安定的なサービス供給を守るために、今後の国の動向、そして東京都がどのように交渉を進めていくのか、引き続き注視が必要です 。



