高次脳機能障害を有する方への支援には、高度な専門性が求められます。令和6年度の報酬改定で新設された「高次脳機能障害者支援体制加算」は、こうした専門的支援体制を整えている事業所を評価するための制度です。本記事では、この加算の概要と対象サービス、加算要件、留意事項などを整理し、制度の正しい理解と実務での活用ポイントをわかりやすく解説します。
高次脳機能障害者支援体制加算とは?
高次脳機能障害を有する利用者が一定数以上であって、専門性を有する職員が配置されている場合に算定できる加算です。
高次脳機能障害とは?
脳の器質的病変(外傷や疾病など)に起因する認知障害であり、記憶・注意・遂行機能・社会的行動などに困難を生じ、日常生活や社会生活に制約がある状態を指します。
対象サービス
生活介護、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労選択支援
加算単位
41単位/日
加算要件
- 高次脳機能障害を有する利用者の数が事業所利用者全体の30%以上であること
- 研修を修了した職員を常勤換算で50:1名以上配置していること
- 研修を修了した職員を配置している旨を公表していること
※研修
高次脳機能障害支援者養成に関する研修、またはこれに準ずるものとして都道府県知事が定める研修
留意点
- 高次脳機能障害支援者養成に関する研修とは、厚生労働省通知「高次脳機能障害支援養成研修の実施について」に基づき、都道府県が実施する研修を指します。これに準ずるものとして都道府県知事が定める研修とは、当該研修と同等の内容の研修をいいます。
- 高次脳機能障害者の確認方法として、以下のいずれかの書類において、高次脳機能障害の診断の記載があることを確認する必要があります。
- 障害福祉サービス等の支給決定における医師の診断書
- 精神障害者保険福祉手帳の申請における医師の診断書
- その他医師の診断書(原則として主治医が記載したものであること)
- 加算を算定する場合は届出が必要となります。
まとめ
高次脳機能障害者支援体制加算は、令和6年度の障害福祉サービス報酬改定により新設された制度であり、専門的支援体制の構築と質的向上を目的としています。算定には、専門性を有する職員の配置や対象者の割合、診断書による確認等が必要であり、制度への正確な理解と要件に沿った支援体制の整備が、加算取得とサービスの充実につながります。