障害者総合支援法に基づく就労系障害福祉サービスには、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援の4種類があります。このうち、就労継続支援は、障害者が継続して働ける環境を整えるためのサービスで、A型とB型の2種類に分かれています。本記事では、就労継続支援B型について詳しく解説します。
就労継続支援B型
就労継続支援B型とは?
一般企業での雇用が難しい障害者のうち、過去に雇用されていたものの年齢や健康状態などの理由で継続勤務が困難になった方や、就労移行支援を受けても一般企業での雇用に至らなかった方を対象に、働く機会や職業訓練を提供します。この支援では雇用契約を結ばずに働く形態となり、生産活動の対価として工賃が支払われます。利用者は自分のペースで働きながら、就労に必要な知識や能力を向上させるための支援を受けることができます。
対象者:
一般企業への就職が難しい障害者であり、以下の条件のいずれかに該当する方が利用できます。年齢制限はありません。
- 一般企業での雇用経験があるが、年齢や体力の問題で働くことが困難になった方
- 50歳以上の方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 上記の条件に該当しないが、就労移行支援事業者のアセスメントを受け、就労に関する課題が把握されている方
- 障害者支援施設に入所している方で、市町村が利用の必要性を認めた方
作業内容:
事業所の方針や利用者の特性に応じて、多様な作業が提供されています。
- 軽作業:商品の仕分け、袋詰め、箱折り、ラベル貼りなど
- 食品関連:パンやお菓子の製造・販売、弁当の盛り付け、食品の袋詰めなど
- 清掃業務:宿泊施設やオフィスの清掃、駐車場の草取り、車両の洗車など
- 衣類関連:クリーニング作業、縫製、Tシャツのデザイン・販売など
- 農作業:野菜や花の栽培・収穫・販売など
工賃:
都道府県によってばらつきはありますが、全国平均は以下の通りです。
令和4年度・令和5年度都道府県別平均工賃 23,053円
利用期間:
制限はありません。
利用時間:
利用者の状況に応じて柔軟に調整が可能です。
例:1日3時間×週2日で働いている方もいれば、1日5時間×週4日で働いている方もいます。
利用料:
原則として月の利用料の1割を利用者が負担します。
ただし、世帯所得に応じて上限額が決まっており、その額を超えることはありません。

(厚生労働省ホームページより引用)
就労継続支援B型事業所の増加
近年、就労継続支援B型事業所の数は増加傾向にあります。それに伴い、利用者数も増加しています。この背景には、障害者雇用の促進や報酬改定による新規参入の増加が要因として挙げられます。

(データ元:厚生労働省)
その他の就労系障害福祉サービス
就労継続支援A型とは?
就労継続支援A型は、通常の事業所での雇用が難しい障害者のうち、適切な支援を受けることで雇用契約に基づき働ける方を対象とした障害福祉サービスです。生産活動の機会を提供するとともに、就労に必要な知識・能力の向上を支援します。就労継続支援A型の最大の特徴は、雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が保証されることです。
就労移行支援とは?
通常の事業所への雇用が可能と見込まれる障害者を対象に、生産活動や職場体験の機会を提供するとともに、就労に必要な知識や能力の向上を支援します。さらに、求職活動のサポートや適性に応じた職場の開拓を行い、就職後の職場定着を図るための相談や必要な支援を実施します。
就労定着支援とは?
生活介護、自立訓練、就労移行支援または就労継続支援(以下「就労移行支援等」)を利用し、通常の事業所に新たに雇用された障害者が職場に定着できるよう支援します。企業、障害福祉サービス事業者、医療機関などと連携し、雇用に伴う生活や社会生活の課題に対応する相談・指導・助言を提供します。
まとめ
就労継続支援B型は、一般企業での雇用が難しい障害者に対し、雇用契約を結ばずに働く機会を提供する障害福祉サービスです。生産活動の対価として工賃が支払われ、自分のペースで働きながら就労に必要な知識や能力の向上を目指します。利用者の年齢や体力に応じた柔軟な働き方が可能であり、多様な作業内容が用意されています。近年、事業所の増加に伴い、利用者数も増加しており、今後さらに幅広いニーズに対応した支援が期待されます。