障がい者の就労支援をより効果的に行うためには、事業所単独ではなく、地域の支援機関との連携が欠かせません。こうした連携の取り組みを評価する仕組みとして設けられているのが「地域連携会議実施加算」です。本記事では、その加算の目的や要件、実務上のポイントについてわかりやすく解説します。
地域連携会議実施加算とは?
支援計画等の原案の内容やその実施状況について説明を行い、関係者から専門的な見地による意見を求めたうえで、支援計画の作成・変更、その他必要な支援の提供について検討を行った場合に算定できる加算です。
対象サービス
就労移行支援、就労定着支援
加算単位
| サービス種別 | 区分 | 加算単位数 |
| 就労移行支援 | 地域連携会議実施加算(Ⅰ) | 583単位/回 |
| 地域連携会議実施加算(Ⅱ) | 408単位/回 | |
| 就労定着支援 | 地域連携会議実施加算(Ⅰ) | 579単位/回 |
| 地域連携会議実施加算(Ⅱ) | 405単位/回 |
※月1回・年4回まで算定可能
算定要件
※以下は、就労移行支援に関する加算要件の内容です。
地域連携会議実施加算(Ⅰ)
サービス管理責任者がケース会議に出席し、就労移行支援計画の原案および実施状況について説明を行い、関係者に対して専門的な見地から意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った場合
地域連携会議実施加算(Ⅱ)
サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員または就労支援員がケース会議に出席し、就労移行支援計画の原案および実施状況について説明を行い、関係者に対して専門的な見地から意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った上で、その結果をサービス管理責任者に共有した場合
留意点
- 次に掲げる地域の就労支援機関等の支援者や有識者を交えたケース会議を開催し、専門的な意見をもとに就労移行支援計画の作成・見直しを行った場合、利用者ごとに月1回・年4回を上限として所定単位数を加算できます。
- ア ハローワーク
- イ 障害者就業・生活支援センター
- ウ 地域障害者職業センター
- エ 他の就労移行支援事業所
- オ 特定相談支援事業所
- カ 利用者の通院先の医療機関
- キ 当該利用者の支給決定を行っている市町村
- ク 障害者雇用を進める企業
- ケ その他障害者の就労支援を実施している企業、団体等
- ケース会議は、テレビ電話装置などを活用して実施することができます。ただし、障害のある方が参加される場合には、その特性に応じた適切な配慮を行う必要があります。なお、個人情報保護委員会が定める「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守することが求められます。
- ケース会議の開催時期としては、サービス利用開始時、3か月に1回以上実施するモニタリングの際、または標準利用期間を超えて支給決定期間を更新する際などが想定されます。
まとめ
地域連携会議実施加算は、就労支援において地域の関係機関と連携しながら支援計画を検討・見直す取り組みを評価する制度です。利用者一人ひとりの状況に応じた支援を実現するためには、地域との連携が欠かせません。加算を活用することで、地域全体で支援の質を高め、障がいのある方の「働きたい」という思いに寄り添った支援体制を築いていくことが求められます。


