共同生活援助(グループホーム)では、夜間の安心と安全を確保するための体制整備が欠かせません。こうした支援体制の構築状況に応じて評価されるのが「夜間支援等体制加算」です。本記事では、夜間支援等体制加算についてわかりやすく解説します。
夜間支援等体制加算とは?
共同生活援助(グループホーム)において、夜間や深夜の時間帯に必要な支援体制が確保されている場合に算定できる加算です。対象は「介護サービス包括型」「外部サービス利用型」の共同生活援助事業所です。
夜間支援等体制加算の区分
夜間支援等体制加算はⅠ~Ⅵの区分に分類されています。
夜間支援等体制加算Ⅰ
夜勤を行う夜間支援従事者を共同生活住居(※サテライト型住居は除く)に配置し、利用者に就寝前から起床後までの夜間に必要な支援を提供する体制を整えた場合に、対象利用者数、障害支援区分に応じて算定できる加算です。
夜間支援従事者の配置・勤務形態
- 夜勤を行う夜間支援従事者を配置し、午後10時〜翌午前5時を含む夜間・深夜帯に支援を提供すること
- 複数の住居を支援する場合、概ね10分以内で到達できる距離・連絡体制(携帯電話等)を整備すること
- 夜勤従事者による巡回支援は、少なくとも一晩につき1回以上実施すること
- サテライト型住居の巡回は、住居形態や利用者の希望を踏まえ、個別に必要性を判断することは可能
- 1人の夜間支援従事者が支援可能な上限は、複数住居にまたがる支援は最大20人まで、 1か所の住居のみの場合は最大30人まで
- 雇用形態は不問(常勤・非常勤いずれも可)
- 従業者以外による委託による支援も認められる
- 夜間支援従事者は就寝準備の確認、寝返りや排せつの補助、緊急時の対応を行う
- 夜間支援の内容は、利用者ごとの個別支援計画に位置付けることが必須
加算算定基準

(厚生労働省資料より引用)
※利用者数11人以上の区分は本記事では省略しています。
単位の計算式:
前年度の延べ利用者数 ÷ 前年度の開所日数 = 平均利用者数
※小数点第1位を四捨五入
- 複数の夜間支援従事者がいる場合は、支援対象者数を按分して算定します
- 新設事業所の場合は、開所後の期間に応じて以下のようにみなし算定します:
- 開所6か月未満:定員の90%
- 開所6か月以上1年未満:直近6か月の実績で算定
- 開所1年以上:直近12か月の実績で算定
夜間支援等体制加算Ⅱ
共同生活援助(グループホーム)において「宿直体制」を整えている場合に算定できる加算で、夜勤体制の加算Ⅰよりも単位数は低めですが、要件を満たせば実務上の運用がしやすい加算です。
夜間支援従事者の配置・勤務形態
- 対象となる共同生活住居(※サテライト型住居は除く)に、夜間支援対象者配置されていること
- 夜間支援従事者は、常勤・非常勤を問わず配置可能であり、また従業者以外の委託者による支援も認められる
- 支援時間帯は、利用者の就寝前から起床後までにわたる時間帯とし、宿直専従であること
- 夜間および深夜帯(22時~翌5時を含む)において、定時的な居室巡回・電話応対・緊急時の対応が可能な体制を整備していること
- 複数の住居を支援する場合:概ね10分以内で到達できる距離・連絡体制(携帯電話等)を整備すること
- 1人の夜間支援従事者が支援可能な上限は、複数住居にまたがる支援は最大20人まで、 1か所の住居のみの場合は最大30人まで
- 夜間支援従事者は、少なくとも1晩につき1回以上の共同生活住居の巡回を実施すること
- 夜間支援の内容は、利用者ごとの個別支援計画に位置付けることが必須
- サテライト型住居の巡回は、住居形態や利用者の希望を踏まえ、個別に必要性を判断することは可能
加算算定基準

(厚生労働省資料より引用)
※利用者数13人以上の区分は本記事では省略しています。
夜間支援等体制加算Ⅲ
夜間に職員を常駐させず、警備契約や携帯電話による連絡体制など、緊急時対応可能な体制を整備している場合に算定できる加算です(10単位/日)
算定要件
以下のいずれかの体制が確保されていることが求められます。
- 警備会社と委託契約を締結していること
- 携帯電話等により、夜間・深夜帯に常時連絡可能な体制が確保されていること
夜間支援等体制加算Ⅳ~Ⅵ
夜間支援等体制加算(Ⅳ)〜(Ⅵ)は、加算(Ⅰ)を算定している事業所が、さらに夜間支援従事者を加配している場合に評価される加算です。それぞれの違いは、支援形態(夜勤か宿直)と支援時間帯の範囲にあります。

夜間支援従事者の配置・勤務形態
- 加配された支援従事者は、常勤・非常勤・委託いずれも可
- 個別支援計画に夜間支援内容を明記
- 一晩につき1回以上の巡回が必要 など
加算算定基準

(厚生労働省資料より引用)
※利用者数24人以上の区分は本記事では省略しています。
まとめ
共同生活援助(グループホーム)の夜間支援体制は利用者の安心につながります。加算Ⅰ〜Ⅵは、その支援内容を制度的に評価する仕組みであり、報酬面からも取得しておくべき加算です。制度を理解し、体制を整えることで、支援の質と事業所の運営安定化が図れます。