近年、障害者の就労能力向上に寄与しない事業者が参入しているといった指摘を受け、自治体(指定権者)が適切に事業所を審査・指導するためのガイドラインが策定されました。
このガイドラインは、「悪質な事業者の参入防止」と「既存事業所の適切な運営確保」の2点を主眼においています。
厚生労働省資料:指定就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインについて
1. 新規指定時の厳格なチェック体制
自治体が新たに事業所を指定する際、単に書類が揃っているかだけでなく、以下のポイントを多角的に審査します。
代表者等への直接面談:
コンサルタント任せにせず、法人の代表者や管理者が直接説明を行う必要があります。
生産活動の妥当性:
eスポーツや単なる水やり、居るだけの活動などは、公費による就労支援として不適切とみなされる可能性があります。
「生産活動シート」の導入:
具体的な収支見込みや取引先情報を数値化し、安定した収益と賃金・工賃の支払いが可能かを確認します。
専門家会議の実施:
行政書士や中小企業診断士、税理士、公認会計士などの専門家が、経営的な観点から事業計画を審査することが望ましいとされています。
2. 運営状況の把握と指導の徹底
事業開始後も、自治体は定期的(概ね3年に1回、新規は6ヶ月目を目途)に運営指導を行います。
会計の透明性:
福祉事業会計と生産活動会計が適切に区分されているか、自立支援給付費(公費)が不当に賃金・工賃に充てられていないかを確認します。
人員配置の実態:
指定時だけ名前を借りる「名義貸し」がないか、サービス管理責任者等が定着しているかを厳しくチェックします。
不適切な募集の禁止:
「通うだけでお祝い金」といった物品提供による誘因行為は不適切とされ、指導の対象となります。
在宅支援・施設外就労:
これらは要件が厳格化されており、単なる自習になっていないか、職員が同行しているかといった実態が確認されます。
3. 指定取り消しを含む厳格な対応
もし申請書類に虚偽があったり、他事業所の計画書をそのまま流用していたりすることが判明した場合、指定権者は指定をしない、あるいは事後的に指定の取り消しを行うなど厳格に対応することが求められています。
まとめ
このガイドラインの運用により、就労継続支援事業所には、より高い透明性と「利用者の能力向上」に直結する生産活動が求められるようになります。


