障がい福祉サービスにおいて、利用者の賃金向上やキャリア形成を支援する取り組みが注目されています。中でも「賃金向上達成指導員配置加算」は、事業所の体制強化と利用者の処遇改善を両立させる重要な加算です。本記事では、その概要や要件、計画書の位置づけなどをわかりやすく解説します。
賃金向上達成指導員配置加算とは?
生産活動収入を増やすための販路拡大、商品開発、労働時間の増加等の賃金向上を図るための賃金向上計画を作成するとともに、利用者のキャリアアップの仕組みを導入し、計画の達成に向けて取り組む賃金向上達成指導員を常勤換算で1以上配置した場合に定員規模に応じて所定の単位数を算定できる加算です。
対象サービス
就労継続支援A型
加算単位

加算要件
以下の要件を満たす場合には、利用定員に応じて、1日につき所定の単位数を加算することができます。
- 賃金向上達成指導員を、常勤換算で1.0以上配置していること。
- 就労継続支援A型事業所と雇用契約を締結している利用者に対し、キャリアアップを図るための措置を講じていること。
賃金向上達成指導員とは?
生産活動収入の増加を目的とした販路拡大、商品開発、労働時間の増加など、賃金向上を図るための取組に係る賃金向上計画を作成し、その達成に向けて積極的に取り組む指導員を指します。
キャリアアップとは?
職務経験、職業訓練または教育訓練等を通じて職業能力の向上を図り、将来的な職務上の地位や賃金などの処遇改善につなげることを指します。
留意点
- 「賃金向上計画」は、就労系留意事項通知に示される「経営改善計画書」をもって代替することが可能です。
- 「キャリアアップを図るための措置を講じている」とは、将来的な職務上の地位や賃金の改善を目的として、昇格・昇進・昇給等の仕組みが就業規則に明記されていることを指します。
- 実際にキャリアアップした利用者がいない場合でも、制度として仕組みが整備されていれば差し支えありません。ただし、仕組みが存在するにもかかわらず、合理的な理由なく該当者がいない場合は、加算の算定要件を満たしていないと判断される可能性があります。
まとめ
賃金向上達成指導員配置加算は、利用者の処遇改善と事業所の経営安定を両立させる制度として重要な役割を担っています。制度の趣旨を正しく理解し、計画書の整備やキャリアアップの仕組みを着実に構築することで、加算の取得だけでなく、利用者の働きがい向上にもつながります。制度を単なる報酬加算として捉えるのではなく、障がい福祉サービスの質向上に資する仕組みとして積極的に活用していくことが求められます。