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行政書士オオタ事務所
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就労選択支援の報酬を徹底解説|基本報酬と加算・減算のポイント

障がい福祉サービス

 就労選択支援の報酬は、基本報酬に加え、利用者の支援状況や事業所の運営体制に応じた加算・減算が適用される仕組みとなっています。本記事では、就労選択支援の報酬体系について、詳しく解説します。

基本報酬

就労選択サービス費  1210単位

 利用者に対して短期間の生産活動等を通じたアセスメントを実施し、適性や希望を整理する支援を行うことが前提となります。

加算

 加算は事業所の支援体制や利用者の状況に応じて報酬が増額される仕組みで、就労選択支援の加算には、次のようなものがあります。

  • 福祉専門職員配置等加算

 社会福祉士や精神保健福祉士などの福祉専門資格を持つ職員を、一定割合以上配置している事業所に適用される加算です。専門的な知識と技術を活かした支援を提供することで、利用者の生活の質の向上につながります。

  • 視覚・聴覚言語障がい者支援体制加算

 視覚・聴覚・言語障がいのある利用者が円滑に生活できるよう、コミュニケーション支援や環境整備を強化した事業所に適用される加算です。点字対応、手話通訳、拡大読書器の導入など、利用者のニーズに応じた支援を行います。

  • 高次脳機能障がい者支援体制加算

 事故や病気による脳損傷により高次脳機能障がいを抱える利用者に対し、専門的なリハビリや生活支援を提供する事業所に適用される加算です。記憶障害や注意障害への対応を強化し、日常生活の安定を支援します。

  • 欠席時対応加算(月4回を限度)

 急病などで利用者が欠席した際に、事業所が相談援助や連絡調整を行った場合に算定される加算です。月4回まで適用可能で、欠席の事前連絡と対応記録の作成が必要です。

  • 医療連携体制加算

 医療機関と連携し、利用者に適切な医療的ケアを提供する場合に算定される加算です。看護師の配置や医療機関との連携体制の確保が求められ、利用者の健康管理や医療的支援の充実を図ります。

  • 利用者負担上限額管理加算(月1回を限度)

 利用者負担上限額管理加算は、利用者の自己負担額を適切に管理する事業所に適用される加算です。複数の事業所からサービスを受ける利用者に対し、負担額が上限を超えないよう調整・管理することを目的としています。

  • 食事提供体制加算

 収入が一定額以下の利用者に、栄養バランスの取れた食事を提供する事業所に適用される加算です。管理栄養士の関与や適切な調理環境の整備が算定要件となります。

  • 送迎加算

 事業所が利用者の居宅や指定場所まで送迎を行った場合に算定される加算です。送迎の頻度や利用者数に応じて、送迎加算(Ⅰ)・(Ⅱ)に区分されます。

  • 在宅時生活支援サービス加算

 通所が困難な利用者が在宅で就労支援を受ける際に算定される加算です。市町村が在宅支援の必要性を認めた場合に適用されます。

  • 緊急時受入加算

 障がいの特性に起因する緊急事態が発生した際に、事業所が夜間支援を提供した場合に算定される加算です。

  • 福祉・介護職員等処遇改善加算

 福祉・介護職員の待遇向上を目的とした加算で、賃金改善やキャリアパス制度の整備が要件となります。

減算

 減算は、事業所の運営体制や支援の適正性に問題がある場合に適用され、報酬が減額される仕組みです。就労選択支援の減算には、次のようなものがあります。

  • 定員超過利用減算

 事業所の定員を超えて利用者を受け入れた場合に適用される減算です。適正なサービス提供体制が維持できない状況では、支援の質が低下するため、報酬が減算されます。利用者の快適な生活環境を確保するため、定員を遵守することが重要です。

 この減算は、1日あたりの利用実績や直近3ヶ月間の平均利用者数が定員を超えた場合に適用され、報酬単位数が一定割合減算されます。

  • サービス提供職員欠如減算

 利用者へ適切な支援を提供するための職員配置基準を満たしていない事業所に適用される減算です。例えば、必要な人数の職員を確保できていない場合、支援の質が低下するため、報酬が減算されます。

  • 身体拘束廃止未実施減算

 利用者への身体拘束を適正に管理・廃止する取り組みが行われていない場合に適用される減算です。福祉サービスでは身体拘束を最小限に抑え、利用者の自由を尊重することが求められます。適正な手続きなしに身体拘束を行っている場合、報酬が減算される可能性があります。

  • 特定事業所集中減算

 アセスメント後に利用者が特定の法人の就労系サービスに偏って移行している場合、報酬が減額される制度です。

  • 虐待防止措置未実施減算

 虐待防止のための研修や規程が整備されていない事業所に適用される減算です。職員への定期研修を実施し、虐待防止のルールを明確に定めることで、利用者の安全を確保することが求められます。

  • 業務継続計画未策定減算

 災害時の業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)が策定されていない場合に適用される減算です。感染症や自然災害などの緊急時に適切な対応が取れない事業所では、利用者の安全確保が難しくなるため、報酬の減算対象となります。

  • 情報公表未報告減算

 事業所の運営情報を適切に公表・報告していない場合に適用される減算です。透明性の確保は、利用者やその家族が安心してサービスを利用できる重要な要素であり、事業所の信頼性にも関わるため、適切な情報公開が求められます。

まとめ

 就労選択支援の報酬体系は、基本報酬に加え、加算・減算により事業所の支援体制や運営状況に応じて柔軟に評価される仕組みとなっています。加算では専門職配置や障がい特性への対応、医療連携などが報酬増の要件となり、減算では定員超過や職員体制の不備などが報酬減につながります。制度の適正運用を通じて、利用者にとって安心かつ効果的な支援を実現することが重要です。

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