令和6年度の報酬改定で新設された「集中的支援加算」は、強度行動障害者の状態が悪化した際に、専門性の高い支援人材による集中的な支援を評価する制度です。地域の支援体制強化と、質の高い支援の継続を目的としています。本記事では、制度の概要や加算要件について、わかりやすく解説します。
集中的支援加算とは?
状態が悪化した強度行動障害者に対し、都道府県知事が認める広域的支援人材が訪問またはテレビ電話装置等を活用して集中的支援を行った場合に、所定単位数を加算できる制度です。
強度行動障害者とは?
強度行動障害とは、自傷・他害・異食・飛び出し・長時間の泣き叫びなど、本人や周囲の生活に重大な影響を及ぼす行動が頻繁に現れる状態を指します。医学的診断名ではなく、福祉・行政の支援判断に用いられる概念であり、専門的な支援と総合的な体制整備が求められます。
対象サービス
療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、児童発達支援、放課後等デイサービス、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設
加算要件・単位
集中的支援加算・集中的支援加算(Ⅰ)
状態が悪化した対象者に対し、広域的支援人材が指定業所で訪問またはテレビ電話装置等を活用して集中的支援を行った場合、支援開始月から3か月以内、月4回を上限に所定単位数を加算できます。
集中的支援加算(Ⅱ)
強度行動障害者への集中的支援が必要な場合、都道府県知事が認めた指定事業所等が他事業所等から利用者を受け入れ、支援を実施した場合は、支援開始月から3月以内に限り、1日につき所定単位数を加算できます。

広域的支援人材とは?
強度行動障害を有する者への支援に高度な専門性を有すると都道府県知事が認めた者であり、地域において集中的な支援を行う役割を担う人材を指します。
以下のいずれかに該当する者から選定されます。
- 中核的人材養成研修の講師等(ディレクター・トレーナー)である者
- 発達障害者支援体制整備事業による発達障害者支援地域支援マネージャーである者
- その他強度行動障害を有する児者への支援に知見を有すると都道府県等が認める者
留意点
- 広域的支援人材が利用者又は事業所のアセスメントを行うこと
- 広域的支援人材と事業所が共同して、集中的支援実施計画を作成すること
- 集中的支援実施計画は概ね月1回以上の頻度で見直しを行うこと
- 事業所の従事者は広域的支援人材の助言援助を受けながら、集中的支援実施計画、個別支援計画等に基づき支援を実施すること
- 広域的支援人材の訪問を受け、当該者の状況や支援内容の確認及び助言援助を受けること
- 当該者の状況及び支援内容について記録を行うこと など
まとめ
令和6年度に新設された「集中的支援加算」は、強度行動障害者の状態悪化時に、広域的支援人材による専門的な支援を評価する仕組みです。対象サービスは多岐にわたり、支援の質向上と地域体制の強化を目的としています。加算の適用には、支援計画の共同作成や定期的な見直し、記録の整備などが求められ、事業所と広域的支援人材との連携が不可欠です。現場では、広域的支援人材の活用を通じて、より的確で継続的な支援体制の構築が期待されます。